苗字名前はその夜も窓の外で月に祈っていた。彼と再会してから何年経とうと、祈りは彼女にとって欠かせない日課となっている。
「名前。今日はいつもより冷えるから、そろそろ戻っておいで」
窓を開け、彼が優しい声で呼ぶ。
名前は彼の声に心を動かされながらも、もう少し月の光を浴びたいと感じていた。彼女の心には彼との再会が深く刻まれており、月はその思い出を鮮やかに保つ魔法のような存在だった。
「もう少しだけ……」
名前が遠慮がちに応えると、彼は黙って窓から出て、名前の隣に静かに立つ。
二人はしばらく言葉を交わさず、ただ月明かりの中で互いの存在を感じていた。